Tears in faint memory うろ覚えな涙

今、涙のエフェクトアニメーションを作っています。キャラクターが転んで、痛くて泣いている設定なので、ドラマチックではないです。

涙について、うろ覚えな記憶を書いてみる。

東京で新卒で就職したアニメーション会社で、とてもラッキーなことに1年目にして、コンピュータグラフィックスの部門が設置された。ちょうどWindows前夜、パソコンを1台、地下室の片隅に置いてもらった。ソフトはPixerが開発したRendermanだけ。

その地下室というのは、アニメーション撮影用のカメラが2台設置された、撮影部のフロア。
自社開発のカメラシステムと、制御用のソフトウェア、そして、それらを自由に操作する撮影スタッフ。
おそらく、70-80年代に、ちょっと面白い映像を作れるチームとしては、日本で5本の指に入ったと思う。

毎日のように、新しい撮影素材が、地上階のデザイン室から運び込まれて、夜な夜な撮影され、フィルムは明朝のラボ便に回収される。そして、進行係が、夕方の現像上がりのネガとラッシュを地下に持ってきて皆でチェックする。そんな毎日。

ズブの素人だった私は、その意味不明な撮影素材を拝見するのが楽しみだった。それらが撮影後にどんな映像になるのか、ほとんど想像できなかった。そして現像上がりのラッシュを見せてもらっては、感動した。

時間があると、真っ暗な撮影室の脇で、立ちんぼして、カチャン、カチャンというこれまた意味不明な機械的作業を眺めていた。
カメラマン、アシスタント、カメラオペレーターの3人で成り立つチーム。
そのの撮影チーフだったSさんが、新しくできたコンピュータグラフィックス部の部長となった。
言ってみれば、その会社の特殊撮影の生き字引みたいな方。

涙の話はSさんから伺った。

その話は、彼がその昔に撮影した「涙のアニメーション」の話。
おそらく多重露光や長時間露光やカメラ内合成などの技術的レクチャーの折にふれて。。。

目から頬へ伝って流れる涙がいかに美しかったこと。そしてその撮影素材が幾重にも分かれていて、撮影をしていても何が何だか解らなかったこと、など。。。

僕はその時にとても感動したのを覚えている。話を聞いていても、その涙の熱さや、おそらく光を放ちながら流れたその滑らかな動きが想像できた。
でも、実際の完成品は見たことがない。もちろん、会社のライブラリーを調べれば、見れたはず。。。 
でも、見ない方が、この気持ちが消えないから、あえて見なかった。
ただ、その瞬間に、「特殊効果」という仕事の本質が植え込まれたように思う。それは、文字通り特殊な効果を生み出さなくてはいけない。
その効果が生み出す不思議な気分を醸し出すマジック。僕が仕事の最終段階で特殊効果を加えるときは、いつもこの涙のエピソードが頭をよぎる。

年をとり、子供ができたりすると、とても涙腺がゆるんでくるのですが、東北の被災地の方々の生活を想像するととても目頭が熱いです。

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